Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

広島G7サミット・ウクライナ情勢について思ったこと

 皆様こんばんは。現役救急医です。相変わらずメチャクソ忙しくて、正直なところ悠長にブログを更新している余裕なんてないんですが、ここ数日、TVやネット等で国内外の情勢が目まぐるしく?動くので、更新せずにはいられません。

 

 まず、広島のG7サミットについて。色々な意見が見られますが、私は少なくとも、これについてはポジティヴな評価を与えても良いと思います。G7首脳が広島の平和記念公園に一緒に献花して黙祷を捧げ, 資料館を見学し, 日韓首脳が原爆で犠牲になった韓国人慰霊碑前で一緒に献花して黙祷を捧げ, そしてウクライナのゼレンスキー大統領が電撃来日して、岸田首相と一緒に慰霊碑や資料館を訪問して黙祷を捧げる。

 目下ウクライナへの侵略を続け, 『西側の脅威・謀略, ナチズムの根絶etc.』という言いがかりを根拠に侵略行為を正当化し, その上で核戦力によってウクライナのみならず侵略に異を唱える各国を恫喝し, 数々の戦争犯罪行為を否認ないし正当化するプーチンに対し、改めて"NO"を突きつける象徴的な機会になったと思います。ロシアだけではありません。近年、中国の海軍の動向や台湾への姿勢, アジア太平洋やその他諸国への影響力行使などがしばしば話題となりますが、中国のこうした強気な姿勢の背景に、広大な国土面積, 膨大な人口, 圧倒的な経済力のみならず、これら資源により益々増強されている軍事力 −当然ながら核戦力もこれに含まれます− が背景にあることは間違いありません(国内における言論抑圧や, チベットウイグル・モンゴル等各民族の自治権否定や存在抹消を図る数々の政策については、論外というほか無いでしょう)。また、金日成以来、正日・正恩と世襲制で維持してきた独裁体制を維持するために、北朝鮮核兵器を開発しつつも, その運搬手段(ミサイルなど)の開発に勤しみ, その影では言論抑圧や経済政策の失陥などで自国民の権利や生命を犠牲にし続けています。

 広島G7サミットにおける首脳らの行動は、こうした独裁者らに対して改めて明確に"NO"という意思表示を突きつけるとともに、国際社会に賛同を求める為には必要なことであったと思います。

 私は「核兵器は廃絶されねばならない」と考えていますが、現状では多くの障壁があり、時間をかけてできることからやるしかないと思っています。まず、「核兵器が実際に使用されないこと」を確実にせねばなりません。また、核拡散防止条約という国際的枠組みが存在していたにも関わらず、イスラエル・インド・パキスタン北朝鮮といった国々が核兵器保有するに至っている(イランも依然疑惑が存在する)という現実も鑑みると、「これ以上核保有国が増えないようにする」という努力も必要だと思います。核兵器があれば相手からの核攻撃を抑止できるし, 通常戦力による侵攻もストップをかけられる」という概念が、この70年余りで世界中に浸透してしまいました。そしてこうした概念は、強権的な指導者が意のままに軍や行政機構, メディアまでをも操り、己の妄信等に基づいて軍や警察・諜報機関などを操って近隣諸国などに圧力を加えることができるような国家(中国・ロシア・北朝鮮などのこと)が核兵器保有し続けていることによって、皮肉ではありますが強化されてしまっているのです。これらの矛盾を孕んだ国際政治・国際社会を是正しないと、おそらく核軍縮核兵器廃絶は進まないとも思います。

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 あと、G7サミットが終了した後に、Twitterなどで気になる情報が流れてきました。ロシアによるウクライナ本格進攻開始後、プーチン政権に反発してウクライナ側に加わってロシア軍と戦ってきたロシア人義勇兵(?)らの部隊が国境を越えてロシア領で戦闘を開始したというのです。

ロシア領内で戦闘、反政権ロシア人部隊が侵入か ウクライナは否定 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル

「ウクライナとの国境付近侵入の工作員39人殺害」ロシア側報道 | NHK | ウクライナ情勢

https://twitter.com/visegrad24/status/1660617001046343681?s=20

https://twitter.com/jpg2t785/status/1660580951905402881?s=20

https://twitter.com/hiranotakasi/status/1660563473040809985?s=20

https://twitter.com/hiranotakasi/status/1660624869078204416?s=20

ロシアとの衝突拡大を恐れるNATO加盟国等は、ウクライナ側に兵器を供与するにあたり、「ロシア領内に届かないこと・使用しないこと」を意識していたことは、これまで報道されていた通りです。上記のような出来事は、NATO加盟国等にとっては少々ナーヴァスになるような事態であったと思う反面、ウクライナ側には切実なニーズがあるのです。以前もこのブログで触れていますが、2014年以降、ウクライナはロシアによりクリミア半島やドンバス地方の一部を不当に占領され, 2023年2月以降は更に国土を武力で侵食されてしまったのです。その過程で、ウクライナ市民へ虐殺や児童連れ去りなどの、人道上極めて不当な扱いが行われていたことは既知の通りです。ウクライナ側(政府や軍首脳部のみならず、国民の総意)として、「どんな手を使ってでも(但し敵軍の真似をして、国際法や人道を蹂躙したくない)ロシア政府首脳部や軍の意思決定・指揮系統を撹乱し、領土奪還のための反転攻勢を少しでも優位に進めたい」という意志が存在することはほぼ間違いないでしょう。

 ウクライナ軍/政府管轄下のロシア人部隊の作戦行動については、早速SNS上などで物議を醸しているようですが、そもそもロシアの侵攻がなければここまでやる必要は無かったのです。おそらくウクライナ側としては、こうした突発的な行動によってロシア世論だけでなく軍や政府を動揺させ, 政府・軍中枢の意思決定なども混乱させることで、どこか別のところで反転攻勢に出るつもりなのかもしれません。ましてや、敵が核戦力や世界第2位の軍事力を誇る国なのですから、これまで通りの作戦でいつまでも押し切れるとは限らないでしょう。ウクライナ側とて聖人君子ばかりではないので、一定の掣肘は必要と思いますが、今必要な議論は、「ウクライナという国家の存続や領土奪還を支援するには何が必要か」・「ロシアの侵攻にブレーキを掛けると共に、ロシアが2度と侵略をしないようにするにはどうすべきか」といったことだと思います。そしてこうした議論は、日本周辺など他地域にも応用(?)可能な議論でもあると思います。

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