Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

プーチン(ロシア)に継戦を断念させるにはどうすべきか

 読者の皆様、こんにちは。現役救急医です。今年2月末に発生したロシアのウクライナ侵攻が、また新たな段階に入ったようです。9月中旬になって、ウクライナ軍は自国東部でロシアに対する大攻勢を成功させました。

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これに対し、ロシアは軍の予備役30万人程度を動員する命令を下し, 核兵器の使用をちらつかせた他, ウクライナの被占領地域での『住民投票』の準備を進めているそうです。要は、ウクライナからの撤退を一切拒否し、侵略を継続するつもりなのです。

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 ウラジーミル・プーチンとその取り巻きの盲信のために、既にロシア側・ウクライナ側双方で多くの人命が失われており、特にウクライナ国内では、無差別爆撃やロシア軍占領地での住民虐殺等、ロシア軍による明白な戦争犯罪が現在進行形で発生しています。1日でも早く、ロシア(プーチンら)に侵略を断念させる必要があります。では、どんな方法が有効となりうるか?私は国際情勢や政治学, 軍事といった分野については完全にど素人ですが、いくつか自分なりに考えてみました。

 

① ロシア国内で政変・動乱が起きる

 プーチンとその取り巻きの横暴に痺れを切らした勢力が革命(或いはクーデター)を起こし、政権を奪取する」というシナリオは、かなり難しいとは思いますが、「起きる確率は0.0%である」とも言い切れません。取って代わった政権がウクライナ侵攻を断念するとは言い切れませんが、このような『政変』によってロシアの政権・軍部の中枢が一時的とはいえ混乱を来たすことはことは必至でしょう。その『隙』こそ、ウクライナにとっては自国東部とクリミア半島を一挙に奪還し, その上でロシアの再侵攻への防備を強化する好機となるでしょう。

 

ウクライナ軍が、ロシア国民の厭戦気分を上げるようなイベントを起こす

 ロシア軍は今年春にキーウ占領を断念してウクライナ北部から撤退した時点で、ある程度『劣勢』に立っているとも考えられます。その上、国際社会からは支持されているとは言い難く、ウクライナには諸外国から次々と兵器を含む支援が現在も続いています。そんな状況で、冒頭で述べた東部における反撃が成功したので、「ロシアは十分劣勢だ!」という論調はある意味正解なのかもしれません。

 但し、ロシアにはアジア・太平洋戦争中の日本(或いはドイツ, イタリア)と異なる強みが幾つもあります。国内には天然ガス等の天然資源が多く埋蔵されており、かつての大日本帝国のように「米国に石油や鉄を禁輸されたから南方にも侵攻して資源を確保しに行ったけれど…」みたいなことは起こりません。そして何よりも、米英仏中同様、核兵器というおぞましい抑止力を持った国連安保理常任理事国です。第二次世界大戦の枢軸国や、湾岸戦争イラク戦争時のフセイン政権のようには行くはずがありません。

 そんな厳しい状況でも一応、参考になりそうな前例はあります。ベトナム戦争下の旧北ベトナム(現在のベトナム社会主義共和国)です。ベトナムの統一を志向する北ベトナムは、その過程で旧南ベトナム側を支援する米軍の圧倒的な空爆に曝されます。それでもホーチミンら指導部のリーダーシップ下で一致団結して耐え抜き, 米軍・南ベトナム軍を出し抜き, 最終的に米軍の撤退に漕ぎ着けています。

 以前も本ブログで紹介した『知略の本質』(野中郁次郎ら著, 日本経済新聞出版社によると、軍事的には優勢と思われている中で、米国内で厭戦気分が広がるきっかけとなったのが『テト攻勢』だそうです。北ベトナム側は旧正月南ベトナムの主要都市でゲリラなどによる奇襲攻撃を仕掛けて一挙に制圧するつもりだったのですが、結局のところ米軍・南ベトナム軍の反撃ですぐに頓挫するのですが、都市部での凄惨な戦闘の様子が、当時急速に一般家庭へ普及していたメディアであるテレビで放映されたことで、米国内で一気に厭戦気分が広がることになりました。

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 例えばの話、今後ウクライナが南部でも電撃的な反攻作戦を実行することでクリミア半島(ロシア側にとっては帝政以来重要な拠点・不凍港であり, ソ連崩壊後も自国領と認識)への再上陸を果たし, その様子がインターネット空間を通じてセンセーショナルに拡散されれば、ロシア国内での厭戦気分が高まる可能性があります。クリミアに駐屯していたロシア軍兵士が続々と投降し, ロシア軍の装備が次から次へと破壊・鹵獲され, ウクライナ軍が現地住民の熱烈な歓声を受けながら『凱旋』する映像がSNSYouTubeで大量にシェアされたり, ロシアの国営メディアがサイバー攻撃で乗っ取られて、一時的とはいえこうゆうセンセーショナルな映像がロシア全土に放映されてしまえば、ロシア国民や指導部へそれなりの心理的打撃を与えられるかもしれません。

 

 いずれにせよ、「『大義名分』らしきものが専制的な指導部の自己満でしかない」という戦争が早期に終結して, これ以上尊い人命が損なわれることがなくなることに越した事はありません。その上で、ウクライナへの侵攻と, その過程での戦争犯罪については、指導部, 並びに 前線での指揮官・『実行犯』に対して、公正な裁きと処罰が下されることが望まれます。