Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

ベラルーシのニュースに衝撃を受けた件について

 今日の日中、私はドタバタしており、SNS等でニュースをよく見る暇がありませんでした。夕方になって、ふとTwitterを見て気になるニュースが飛び込んできました。現地時間で?5/23に、ギリシャリトアニア行きのライアンエアーFR4987便が、ベラルーシ上空を飛行中、同国の管制官から「航空機内に保安上の危険があるので着陸せよ」と指示を受け、同国空軍の戦闘機に随伴されながら緊急着陸した後、乗客の一人であったベラルーシ市民ロマン・プロタセヴィッチ氏を連行したとのことです。

www.bbc.com

 プロタセヴィッチ氏は元々ベラルーシ国内のメディアの編集長でしたが、2019年にベラルーシを出国しているそうです。その後も同国の強権的な独裁体制に対し批判的な報道を行なっており, その為か当局からテロリストに指定されていたとのこと。すなわち、ベラルーシ政府はプロタセヴィッチ氏を捕まえる為だけに、デタラメの警告を民間機の機長へ伝えて着陸させたということなのです。

 このニュースを読んでいるうちに、私はこの件が日本にとっても他人事でないように思えて来ました。以下にその根拠(?)を綴ります。

 

① 真似する輩が絶対出てくる

 強権的な指導者や集団が長年権力の座に居座っているのはベラルーシだけではありませんよね。北朝鮮, 中国, ロシア, タイ, ミャンマー, イラン, シリア, エジプト, トルコ, キューバetc.と列挙するのも大変なくらいです。「類は友を呼ぶ」と言いますが、そうした国々が似た様な手口を用い、自国の上空を通過する外国の民間機を着陸させ, それに乗っていた亡命中の反体制派市民を拘束するという事例がまた起きるかも知れません。グローバル化が進んだ今日、旅客機は様々なところを飛んでいきますし, とりわけロシアや中国は国土面積が広く(そして日本に近く)、避けて通るのが困難とも思われます。そんな中で、常に「嘘の口実で着陸させられ、機内へ官憲が乗り込んできて亡命者を連行する」という脅威に怯えながら空の旅を過ごせというのでしょうか?

②個人情報が漏れている?

 冒頭のニュースで触れた航空機は、ベラルーシ国内ではなくギリシャから出発しています。目的地もベラルーシではなく隣国のリトアニアです。調べてみたところ、ライアンエアーアイルランドの格安航空会社であり、ベラルーシの企業ではありません。一体どうやってベラルーシ当局は、「FR4987便にプロタセヴィッチ氏が載っている」と知り得たのでしょうか?1. 国外に在住しているプロタセヴィッチ氏をずっと監視(インターネット閲覧履歴や通話履歴, メール, 郵便等も含めて)していた, 2. ライアンエアー等の民間航空会社の乗客名簿を閲覧出来た, の両方の可能性が考えられます。

 なお、メディアによっては「プロタセヴィッチ氏が2019年以降はポーランドに居た」と報じています。EU加盟国内でも亡命者が監視されていたというのであれば、他の国々 - 例えばオーストラリア, 英国, 米国, 日本など - に仮に成功裡に亡命したとしても、常に母国の官憲から付き纏われている可能性が残るということですよね?外国のスパイやその協力者によって、国防や科学技術等に関する機密が盗まれるのも重大な問題ですが、せっかく安住の地を求めてやって来た亡命者が狙われ続けるというのも人道上の見地から許されるものではないと思います。

 

 今日は国際ニュースを見聞きして思ったことをぱぱっと綴ってみました。それではまた。おやすみなさいzzz