Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

【今現場にいる医療従事者より】東医体に出場する皆さんへのお願い

 皆さんこんばんは。現役救急医です。今日は当直で、短い空き時間を利用して少しずつ記事を書いていたら、最終的にこんな夜更け(23時近く)にアップロードするハメになりました。断じて暇な訳ではないので、ご了承ください。

 

 さて、過日も触れたように、2022年において東医体は種目ごとに開催の可否を判断し, 西医体は中止の方針となりました。2020年以降、西/東医体はずっと中止となっており、「今年こそはやろう!」という強い意向が(全員でないにせよ)医学生の間で働いていたようです。

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 今日は、そのような経緯で東医体の開催に踏み切った種目の関係者(主管校の学生や出場する学生, 及び医学部の教職員)の皆様へ、今まさに最前線で働いている一医療従事者として、幾つかお願い(もしくは助言)を申し上げます。

 

 

 始めに、私は皆さんがいわゆる『医師の卵』として、現在進行形のパンデミックであるCOVID-19や, その病原体であるSARS-CoV-2(とその変異株)について知識をアップデートし続けていると信じております。従って、どのような行為が自身と周囲の感染リスクを上げるか(或いは下げるか)について十分把握しており、その知識に則り行動可能だと信じています。私は今更、『東医体開催』という結論・合意形成や, 「自分は出場する」という皆さんの自由意志に関してとやかく言うつもりはありません。でも強いて言うなら、「自分はもうマスクなんて付ける気はない」, 「大会が終わったら皆で飲み会をやって派手に騒ぐ予定だ」,「コロナワクチンが全くもって未接種だ/3回目接種がまだ」などという方は出場キャンセルをご検討下さい。

 

 次に、「第7波が現在進行中のこのご時世で参加したくない」, 「自分は基礎疾患があるので感染したら重症化するかもしれない」, 「(基礎疾患はないが)自分が感染したり, 自分から友人・家族へ感染するリスクを冒したくない」といった理由により出場を辞退する人が周囲に居ても、責め立てたり, 出場を強要するような真似は絶対にしないで下さい。また、上記のような理由により「東医体には出たくない」と思っている方は、臆することなく周囲に対して意思表示を明確に行なって下さい。下らない同調圧力に屈し、自らの信条はまだしも, ご自分の健康やご家族の健康までをも損なう結果となっては元も子もありません。もし先輩や同期が恫喝的な方法で出場を強要してきた場合でも、強い意志を持って拒絶しましょう。そこまでしてあなたの自由意志を蹂躙するような人間は、どうせろくな連中ではありません。さっさと縁を切りましょう。

 

 最後に、「もし自分が感染してしまった場合どうするか」について事前に予測し, 準備しておきましょう。皆さん既にご存知と思いますが、多くの都道府県でCOVID-19患者によって病床の空きが乏しくなり, 医療機関内でもスタッフやその家族の感染により人手不足が生じており, 保健所は自宅療養者の状態把握などをカバーし切れないほどに逼迫し, 軽症者を療養させるホテルなども空きがなく, 感染した妊婦の入院先すらもすぐに見つからないような状態です。高齢者や中年以上の成人と比較して基礎疾患が少なく, 尚且つ大半が若年である皆様は、ほぼ全員が自宅療養になるかもしれません。皆さんの中には実家から遠い大学で学んでいる方も少なからずおり、そのような方々が自宅療養となった場合、「実家に帰って療養」というのも、帰路で具合が悪くなる・帰路で他人に感染させる可能性がある・実家で家族に感染させる可能性があるといったリスクを考慮するとやりにくいと思います。そうなった場合、食料・飲料水のみならず, 解熱鎮痛薬といったものも十分な数を備蓄しておく必要が生じます。東医体出場を控えたあなたは今、そうした準備までやっていますか?自信がないのであれば、出場は止めた方がいいかもしれません。

 

 東医体に出場する予定, もしくは 出場するか迷っている皆様に伝えたいことは以上です。大変なご時世ですが、どうかご自愛下さい。