Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

喉元過ぎれば熱さも忘れる

 みなさんこんばんは。現役救急医です。最近ブログとYouTubeをメチャクソサボりがちで申し訳ありません。年度が変わった途端、そこそこ責任のある地位に就いたこともあり、尚更忙しくなってネタも切れて…という有り様でした。しかし、少しは記事を書いてみないと…と思ってとりまブログを更新します。

 

 今年2月末からニュースはずーっとロシアのウクライナ侵攻の話題ばかりで、最近はもうすぐ行われる参院選関連の話題や酷暑・節電の話題で持ちきりですね。プーチンら強権的な指導者/ジェノサイドの加害者の暴虐は糾弾されて然るべきですし, 核兵器等CBRNE兵器は存在自体言語道断ですが、自国防衛のためのリソースや法制度の議論は十二分に尽くされるべきですし, 原発事故や核燃料廃棄物処理の問題は軽視できないものの、原発再稼働が全く選択肢にすら上がらないのは良くないとは思います。

 

 ですが…肝心なものを忘れていませんか?COVID-19は今も流行中です。確かに、3~4回接種で重症化リスクも感染リスクも低減できますが、ウイルスは変異します。最近COVID-19に関する最新の知見をフォローする余裕すら無くなっており、BA系統が幾つまで増えているかすらおぼつかない私ですが、SARS-CoV-2がヒト-ヒト感染し続ける限り、過去の感染orワクチンで形成された免疫を回避する変異株がまた出てきたりする可能性は0にならないでしょう。また過去のデータでは、mRNAワクチンとはいえ2回ないし3回接種後時間が経つと、SARS-CoV-2に対する免疫が低下してしまうことが示唆されています。

 

 そう。今から(或いはもう既に)COVID-19第7波が発生してもおかしくない状況です。うかうかと「規制解除だー!」とか, 「もう自粛は疲れた!マスクも飽きた!!」と言っていたらまた地獄を見ますよ。忘れないで下さい。COVID-19は依然流行中です。そして、感染拡大で医療機関の機能が麻痺してしまった場合のバップアップ(?)計画は初期から殆ど変わっていません。保健所はすぐに機能がパンクし、自宅療養中の患者全員をカバーできず, 自宅療養者の症状が進行しても入院病床がすぐには見つからず, COVID-19以外の急患の入院もままならないという状況を間違いなく繰り返すでしょう。

 

「喉元過ぎたら熱さも忘れる」はいい加減にして下さい。