お久しぶりです。プライベートでも仕事でも色々とありすぎて、ブログの更新がすっかり止まっていました。せめて生存報告だけでもと思い、パパッと更新しちゃいます。
ひとまず近況報告から。ずっと地方大学病院救急科医局所属で、時折市中の2次医療機関配属になりつつも働いてきましたが、家庭の事情により転出することになりました。4月から全く別の地域で働きます。あんま詳細を書きすぎると身バレするんで、これくらいしか書けません。申し訳ありません。
日々のニュースを見たり, 日々の診療の中で色々な課題に直面したりして思うことは色々あるんですけど、今回は手短に済ませたいので、またまた最近読んだ本の紹介でもさせて下さい。
『北関東「移民」アンダーグラウンド ベトナム人不法滞在者たちの青春と犯罪』(安田峰俊 著, 文藝春秋)
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ちょっと前まで、『技能実習生』の問題がニュースのヘッドラインを賑わせていたと思います(今は能登半島地震や, 自民党の政治資金問題等で忘れ去られているような気がしてなりませんが)。
この本は、その『技能実習制度』により来日したベトナム人の中で、途中で逃亡したり, 逃亡後にトラブルを起こし逮捕されたりした人々を追跡し、彼ら・彼女らの実態を一般メディアよりもさらに深く掘り下げた内容となっています。この本の著者である安田氏は中国に造詣が深く(?)、これまで中国の社会問題や政治などについて色々な著書を書かれているようですが、彼は在日中国人の中で犯罪に走ってしまった人について調べている中で、ベトナム国籍の人々による犯罪が増えてきている、というデータを目にしたことで、当事者本人らへの取材を開始したようです(当然ながら?政治的・人種的イデオロギーは排した状態で取材をされており, 本の内容も然り、と思います)。
そもそも『技能実習制度』を利用して、ベトナム側から人を送り出す側・日本で受け入れる側の双方に、良心的な業者だけでなく, 制度に便乗して悪銭を稼ごうとする仲介業者(ベトナム側)や, とにかく低賃金で働いてくれる労働者が欲しい以外に何も考えていない業者(日本側)が少なからず紛れ込んだことが問題のようです。良心的な仲介業者であれば、学歴・教養を十分に備え, 勤労意欲や資格・技術取得に積極的な人間を選抜して、日本側の優良企業にその人を派遣することができます(実際そうゆう事例はある)。しかし現実には、そんな意識もない仲介業者が、日本で言う所謂'DQN'のような若者を甘い言葉で誘惑して日本へ行かせ, そうゆう経緯で来てしまった彼ら・彼女らは日本の職場環境に慣れることもなく(そして特に学び取るような知識や技術も伝授されることなく)途中で離脱してしまう…ということが多いようです。
そうして離脱した彼ら・彼女らはインターネットを介して自分たちだけのコミュニティーを形成し、その中で自分たち独自の経済活動(農家から果物・家畜等をくすねて、不法滞在中のベトナム人コミュニティー内へ転売する, 地下銀行を作ってベトナム国内の家族へ送金する etc.)を行なっているのです。
こうした犯罪の要素もある彼ら・彼女らの生活像を、当事者から直接聴取したり, 実際に彼ら・彼女らの住居などに足を運んで見せてもらったりして浮き彫りにしたのがこの本です。医療現場に出て10年そこそこ経つ私ですが、田舎にいるせいかそうゆう患者さんは経験したことがありません。しかしそれでも、こうした人々の身の上などが手に取るように(?)生々しく分かる、非常に面白い本でした。
今日の日本では、少子高齢化による人手不足が叫ばれることが多くなっています。こうした中で、外国人労働者をどのようにして受け入れていくのか、という課題について色々考えされられる本でもあると思います。私の貧相な語彙では表現が難しいのですが、人種的なイデオロギーを排除して、当事者に今起きていること, 及び それに対してどうゆう手を打つべきか, といった課題に重点を置いて議論すべき課題だと思います。