Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

最近読んだ日本史関連書籍を紹介する

 みなさんこんばんは。今日はメチャクチャ久しぶりに、本を紹介していきます。私はもともと歴史好きで、小学校〜中学校の歴史のテストでは90点台も珍しくなく, 高校では世界史を選択していました。但し医学部6年間+卒後は殆ど医学の世界であり、それ以外の分野に対する知識等を深める機会は少ないです。

 まあそんな中でも、卒後(特に専攻医課程)は自分の収入が生じるので、財布内の金の一部を好きなものに使う余裕が少々生じる訳です。そこで私は、歴史関連や自然科学関連の書籍を暇さえあれば買い漁り, 読んでいるのです。今日はそうした本の中から、ここ1年以内に読んだ日本史関連の書籍を紹介します。

 

① 『喧嘩両成敗の誕生』(清水克行 著, 講談社選書メチエ

 この本は以前もこのブログで紹介しています。「室町時代の日本で、不倫・喧嘩といった比較的些細なトラブルはともかく, 殺傷事件や土地・財産を巡る紛争を解決する為にどのような手段が講じられていたのか」というテーマで、記録に残っている様々な事件や法令を紹介するものです。当然、室町・戦国時代の日本に大日本帝国憲法日本国憲法も, 国会や裁判所といったものも存在しないので、現代の価値観からすれば荒唐無稽な解決手段が講じられています。

 

② 『戦国の忍び』(平山優 著, 角川新書)

 題名から想像がつく方もいらっしゃるかもしれませんが、歴史学者が所謂『忍者』に関して、歴史的な文献を引用しながら彼らの実態を解説する書籍です。敵情を探る間諜の記述は古代から存在するそうですが、『忍(しのび)』というフレーズが登場するのは南北朝時代からで、忍びを敵の拠点に侵入させて放火したり, 忍びが持ってきた情報により敵の夜襲を事前に察知したりしていたそうです。

 ちなみに所謂『伊賀忍者』の由来は、鎌倉時代末期〜室町初期に守護や東大寺に対して反抗していた伊賀の地域勢力(国人, 土豪)だったそうです。彼らは室町幕府へ服属後も一定の自治を保持していましたが、南北朝の対立・応仁の乱といった騒乱の際には、各種勢力に取り入って互いに抗争する機会が増えたそうです。

 他方、『甲賀忍者』が初めて記録に登場するのは、1487年に近江守護の六角高頼を当時の室町幕府将軍 足利義尚が討伐した時のことだそうです。甲賀に在陣していた幕府軍を襲撃して苦戦させた牢人が数千人は居たそうですが、彼らが甲賀の人間だったようです。伊賀同様、甲賀にも地域勢力が存在し, 互いに同盟のようなものを形成していたそうです。

 

③ 『室町の覇者 足利義満』(桃崎有一郎 著, ちくま新書

 足利義満については、一般的に「金閣寺を建てた」だの, 「明へ使節を派遣して貿易を行い、『日本国王』の名称を貰った」だのといったイメージを持たれていますが、「いや、それだけじゃないんだよ足利義満は!」ということがよく分かる本です。とはいえ彼が権勢を誇った背景には、先代から引き継いだもの(室町幕府の統治体制など)も欠かせないので、鎌倉幕府崩壊や室町幕府の成立と南北朝の対立などから話が始まります。

 

④『武士の起源を解き明かす − 混血する古代、創発される中世』(桃崎有一郎 著, ちくま新書

 この本は「武士(侍)がどのようにして誕生したのか」というテーマで、歴史学者が歴史上の記録や法令・出来事を検証し、独自に考察していくものです。ぶっちゃけネタバレさせたくないので、詳細はこの本をご購入して読んで確認して頂きたいのですが、大雑把に言うと「平安時代以降の、現代の価値観からすれば『無法』としか言いようのない社会や法体系が武士を生み出した」と言えるでしょう。

 

 今日は久々に本の紹介をしてみました。この中で興味を惹かれた本がありましたら、是非上記リンクをクリックし確認and/or購入してみることをお薦めします。