Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

K-1開催『強行』に関して思ったことを綴ります。

 さて、昨日からTwitterで、医師を含めたインテリ層が熱い議論を繰り広げていました。どうゆう話題かというと、COVID-19アウトブレイクに伴う大規模・大人数イベント自粛要請にも関わらず、格闘技イベント"K-1"が開催されたのです。

 では、医師を含めインテリ層がどんな意見を戦わせていたのか。私が興味を持ったツイートを幾つか紹介します。

純粋に医学的に考えれば、6,500人もの人間をアリーナに詰め込んで、大歓声を上げさせる大イベントはSARS-CoV-2(新型コロナウイルス )に新たな宿主をバンバン提供する場を与えているようなものです。但し、その裏ではギャラや会場使用料, その他警備要員等のスタッフの人件費の帳尻を合わせるべく苦渋の決断を迫られた主催者・従業員(とその家族)が居るのです。また上記のツイートにあるように「『自粛要請』という法的拘束力がない、曖昧な指示でお茶を濁した政府に問題がある」という意見もあります。

更に、上記の一連のツイートにもあるように、「『自粛せよ』と言う割に、休業で損失を被った企業・法人とその従業員の損失を補填する策がロクに示されていないではないか」と言う批判も多く見られていました。

 私としては、どっちの意見も間違っていない(至極真っ当だ)と思うのです。COVID-19が猖獗を極めた昨年12月末~今年2月上旬の中国(3/23現在 死者3,000名超)や, 死者が増加し続けている現在のイタリア(3/23現在 死者5,000名超)などと比べると、現状の日本はなんとか感染拡大を抑え込めているのです。そんな中で、SARS-CoV-2の蔓延を加速させるような行為を制限するのは必要不可欠な措置です。但し、その制限によって既に世界的に経済的な損失(航空機の減便, 宿泊施設の減収, 劇場閉鎖, 従業員の解雇etc.)が生じています。たとえCOVID-19に罹患しなくても、減給や解雇で食っていけなくなった人が餓死, ないし自殺してしまっては元も子もないと思うのは私だけでしょうか。

新型コロナウイルス感染 世界マップ:日本経済新聞

 まず、私は言いたい。K-1を主宰した会社を責めるべきでないと。難しい判断を迫られたことに対して共感を示すとともに、今後も同様の事象が高確率で起こりうると考えるべきですそして、「イベント開催自粛」をあくまで要求するのであれば、主催者側が一方的に出血を強いられる現状を直ちに是正すべきです。もしそういった埋め合わせもなく、『自粛要請』, ないしそれより強い規制(罰金や禁固・懲役を伴うもの)を行った場合、政府に対する国民の反発・不信感が強まり、近い将来、再びアウトブレイクパンデミックが生じた時に「ロクに補償しない政府の言うことなんか聞けるか」といった感情が生じ、それに科学的裏付けのない陰謀論(e.g. 反ワクチン運動, 人工ウイルス説)が便乗することで、感染者・死者の増大を招く懸念すらあると私は考えています。

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 最後に、今後とるべき日本の経済政策を(ド素人ながら)提案して今日の記事を締めたいと思います。

  • COVID-19パンデミックが終息するまで、一般市民の税負担(消費税, 所得税, 住民税とか)を軽減
  • 「自粛」で損害を強いられている業界(e.g. コンサート等イベント運営会社, 宿泊施設, 旅行会社, スポーツチーム etc.)の法人税を減税
  • COVID-19の対応に当たった医療スタッフや公務員(e.g. DMAT隊員, 国立感染症研究所職員, 厚労省の対策チームメンバー, 自衛隊員 etc.)の免税
  • 病院 ー 特にCOVID-19患者の診療に当たった医療機関 ー の免税