Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

2021年、私のYouTubeチャンネルの総括

 こんばんは。現役救急医です。早いもので2021年もあと2日足らずです。今年もCOVID-19パンデミックに振り回され、その傍では呑気に五輪などやり、ようやくワクチン接種が拡大し落ち着いたと思った矢先に、新規の懸念すべき変異株オミクロンの出現です。ここまでCOVID-19に出しゃばられると、総理大臣の交代や, その他の事件も霞んで見えてしまうのは私の不見識なのでしょうか?

 そんな1年間でしたが、私個人としては救急専門医試験合格以外にこれといった目新しい, おめでたいニュースはありませんでした。ですがそんな中でも、自分の1年間を曲がりなりにも振り返りたいと思い、2021年初頭〜現在に至るまでの私のYouTubeチャンネルの総括をやろうと思い立ったのです。

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全部動画で言及してしまっていますが、ブログにも載せておきます。ここ1年間の私のYouTubeチャンネルの傾向として、

  • 「医学部あるある」ネタ動画(昨年作成した動画)が依然人気
  • F岡氏の順天堂大学医学部裏口入学疑惑に関する動画を上げたら、その視聴回数が伸びまくった
  • だがTOKYO MERに関する動画はそれよりも伸びている
  • 今年はチャンネル登録者が132名増加し、12/30現在148名になっている
  • 視聴者層は25~34歳の年齢層のみに限定されており、性別は男: 75.4%, 女性: 24.6%と男性に大きく偏っている

といったものが見られました。つまり、①(収益化が可能となる)チャンネル登録者数3,000名にはまだ遠く, ②女性視聴者の人気獲得が必要であり, また③25歳未満の若年層と、35歳以上の年齢層へ到達せねばならない, といった課題が浮かび上がったのです。

 

 このブログも、これまで多くの皆様に読んで頂いた上に, 何個もスター(いいね)を頂いています。本当にありがとうございました。来年が皆様にとって良い年となりますよう、切に願っております。これからも何卒よろしくお願い申し上げます。

YouTubeチャンネルを更新しました。

 こんばんは。現役救急医です。最近またブログ(とYouTube)の更新が止まりがちです。仕事が忙しいのはもちろんのこと, ネタもすぐには浮かばないし, 詳細は言えませんがプライベートとキャリアの両立に関する悩みがここ最近益々増えてしまい、気分的にpositiveな方向に行けませんでした。

 ですが最近、Twitter上で何やら医学部医学科入試の『地域枠』に関して、特に医療従事者がガヤガヤと騒がしかったので、私も少々思うことがあり、遂にブログとYouTubeの更新を決意した訳です。

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 今の日本の医療には、急性期病院の集約化, 負担が大きく、なり手も少ない部署・診療科の待遇の見直し, 医師に集中する権限・業務の分散, 急性期病院の入院期間の短縮etc.と、まだまだ未解決の課題が多く残されています。ぶっちゃけ、『医療崩壊』が叫ばれ始めた2000年代初頭頃に見直しておけば良かったものを、現在に至るまで解決せずに引きずってきたものばかりです。そして、解決を先送りにした尻拭いを若者にさせようという訳です。なんと馬鹿げた話なのでしょう。現場の医療従事者 - 特に若手スタッフ -や、医学生らはもっと怒って良いと思います。

医師修学資金制度・地域枠の実効性の検証を

 こんばんは。現役救急医です。昨日は、政府の「感染症内科・救急科を志望する受験生/医学生向けの特別枠を医学部医学科に設ける」という政策について批判する記事や動画をuploadしました。

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 動画内でも言っておりますが、地域枠や医師修学資金制度も正直、問題がある制度だと思います。これらの制度は2000年代初頭くらいに、転院搬送先が見つからず亡くなったり, 救急車の収容先が見つからず亡くなった患者がいたことをきっかけに報道が加熱し、それをきっかけに国や各大学・各自治体が開始したものです。しかしそれ以降、日本の医療は改善したとは言い難い状態です。特にCOVID-19パンデミックが本格化して以降は、感染者が増えるたびに重症患者・中等症患者で病床が埋まり, COVID-19以外の急性疾患や外傷の急患の診療に支障を来たすのみならず、遂にCOVID-19中等症患者の入院先すら見つからない状態となりました。

 これは私の無知かもしれませんが、これまで上記のような地域枠・医師修学資金制度の効果が検証されたことがあったのでしょうか?確かにこの制度で、指定された地域・医療機関で働き続ける医師数は増えたかもしれません。しかし極端な話、地域枠対象者や修学資金利用者が全員眼科や皮膚科に行ってしまい, 救急科や脳神経外科・循環器内科といった重症患者を見る機会が多く体力的にもキツい診療科に行かなければ、その地域の診療態勢の底上げにはならないでしょう。

 また日本の急性期病院は多くの場合、1つの地域内に複数存在しており, 各病院には決して多くない数の医療スタッフが配置されています。一般外来に加えて, 手術や入院患者の診療・重症患者の管理・急患の診療を少人数で切り盛りしているので、容易にキャパが飽和してしまうことは目に見えています。そのような状況ですから、定年退職に加えて, 精神的・肉体的疲労がきっかけで離職していく人が一定数出るのは自明の理です。そうやって限界点に達している地方の医療機関に、地域枠とか医師修学資金の対象者である若手医師を投入して『後始末』をやらせる訳ですが、そんな忙しい環境では精神的・肉体的に疲労するのは言うまでもないですし, 上級医から綿密なフォローや指導/教育を受けられるとは思えません。

 ここまでの主張は私の経験談や, 見聞きした事例から導き出した考察・分析なのですが、これをデータにより裏付ける(or 検証する)必要があると思います。国は今一度、地域枠や医師修学資金制度対象者に対して、

① 卒後の進路・診療実績; どの診療科を選び, どの施設で働き, どれほどの患者を診療し, 学位取得や学会発表・論文発表はどうだったのか。

② 本人への聞き取り調査; キャリア及びプライベートの両側面で、地域枠・医師修学資金の規約を守ったことにより不利益, ないし 利益を受けたのかについて聴取する。

③ 卒後の労働環境; 労働時間や給与, 当直やオンコールの回数, 過労に伴う休職・離職の有無, 有給取得状況, その他手当の受給状況, 産休や育休の取得状況等についてデータを収集する。

④ 勤務態度; 同僚・上司から本人の勤務態度について聴取し、倫理的に問題のある言動の有無や, 過労による意欲低下・心身不調の経緯の有無等を調査する。

の4項目を調査し、その結果を国民に公開した上で、地域枠や医師修学資金制度が果たして有効であったのか, これ以上継続する意義はあるのか, について議論を行うべきです。

【医学部入試】『感染症内科/救急科枠』新設の問題点

 こんばんは。ここ数日間、仕事が忙しいことに加え, 専門医試験の勉強もあったのでYouTubeチャンネルの更新は停止しており、ブログ更新もやや雑になりがちでした。しかしながら、昨日気になるニュースが私の目に止まりました。2023年度の医学部新入生(≒受験生)の中に、感染症内科と救急科の専門領域に進む人向けの枠を新設すると言うのです。SNS上の医療関係者の間では早速批判の声が上がっていました。

www.yomiuri.co.jp

 

biz-journal.jp

 正直なところ私も賛同しかねます。そもそも、高校生の時点や医学部低学年の時点で決めていた専門領域が、6年後, 或いは初期研修終了時も変わっていない確率はいかほどでしょうか?私の医学部同期ですら、当初産婦人科志望だったのに放射線科に変更したり, 小児科志望だったのに麻酔科になっていたりという人が何人もいます。中には、初期研修2年目の途中までどの領域に進むか決めていなかった人すらいます。つまり、昔の私(or あなた)と今の私(or あなた)が全く同じことを考えるという保証は皆無なのです。この時点で、『感染症内科/救急科枠』という構想はナンセンスなのですが、それ以外にも欠点はあると思います。

 今回は、そうした問題点を動画にまとめてみました。何卒ご視聴の上、ご意見・ご感想をお寄せ下さい。チャンネル登録も是非お願いします。

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