今回の記事は、またまた書評です。実はこのブログ、『Amazonアソシエイトプログラム』なるものに登録しており、アマゾンで販売している商品を宣伝し、実際に読者が購入すれば売り上げの一部がもらえるようになっています。これまで何度も、医療関係, ないしそうでもない書籍を気まぐれに紹介してきた理由はこれなのです(笑)
今日は、医学, ないし看護学を習い始めて比較的年月が短い医学部・看護学部1~2年生(それ以前の高校生でも行けそうですが)が面白く読めそうな一般向けの本を紹介しようかなと思います。なお、過去に本ブログで紹介した書籍もあるので、ご了承ください。
(1) 医学の歴史について
まずは、血液学, 悪性腫瘍が専門の医師であり、文筆家でもある(なんとピュリッツァー賞受賞歴あり!)シッダールタ・ムカジー氏の著作から。『がん 4000年の歴史』(早川書房)では、人類が癌とどう向き合ってきたかに焦点を絞った本です。解剖学の発展や抗癌剤の発見など、医学の歴史そのものなので非常に勉強になります。
また、『遺伝子 親密なる人類史』(早川書房)も、人類が自分たちの遺伝をどう考え、研究してきた(そして利用してきた)のかを追った力作と言えます。遺伝という現象そのものの追及や、遺伝と疾患・障害の関連を人類がどう捉え行動に及んだのかetc.が詳しく書かれています。
また、著者は変わりますが『世にも危険な医療の世界史』(リディア・ケイン, ネイト・ピーダーセン著, 文藝春秋)も非常に刺激的な医療の歴史を教えてくれます。子供向けの市販薬にさえアヘンといった麻薬が入っていた, 19世紀の外科手術では、外科医が誤って助手の手や患者の健常な体の一部(e.g. 下肢の切断術で誤って睾丸を切断)する事故が多かった, 「人体の周波数を測って治療に反映する」というインチキ療法etc.と、古今東西の恐ろしげな治療法が紹介されています。
(2) 『人体、なんでそうなった?』(ネイサン・レンツ著, 化学同人)
この本では、生物学者が人体と他の生物を比較し、文字通り「なんでそうなったの?」という人体の特徴を紹介してくれます。以下に例を挙げます。
- 前十字靭帯: 他の動物(4足歩行の動物)にもある。しかし人類(ホモ・サピエンス)の場合、本来4本の脚に分散していた体重負荷が2本の下肢に集中するようになった。前十字靭帯はこのような負担に耐えきれず、走っている途中で急停止した時などに、急激な負荷がかかって断裂することがある。
- 霊長類, ホモ・サピエンスとオオコウモリは、'GULO'なる遺伝子の突然変異によってビタミンCを自分の体内で合成する能力を失った。霊長類とオオコウモリは熱帯地域に生息しており、ビタミンCの供給源たる柑橘類をいつでも摂取できるが、ホモ・サピエンスは熱帯以外にも定住している。冷蔵庫等の食糧の保存手段が限られていた時代では、容易にビタミンC欠乏に陥り壊血病で死亡していた。
他にも、様々な興味深い人体の『不利な』構造が明らかにされています。
(3) 『紛争地の看護師』(白川優子 著, 小学館)
実はこの本、私はまだ読み始めたばっかしです。『国境なき医師団』に実際に参加した看護師が、イラク(ISILとの戦争), イエメン, 南スーダンといった人道危機が起きている現場で外傷や病気に苦しむ市民の診療に従事した有様が生々しく描かれています。テレビのニュース番組, ワイドショーでは分からない, ましてや日本の医療現場では経験し得ないような実情が書いてあるので、これからどんどん読み進めてみたいと思っています。
以上、長文になってしまいましたが本の紹介でした。少しでも興味を持たれた方は、是非上の「今すぐ購入」をクリックし、私めに施しを下さいませ(笑)