Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

東日本の某県に勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

AFCアジアカップ決勝戦の感想

 昨日は当直で病院に泊まっていたのですが、なんとAFCアジアカップの決勝戦、日本vsカタールもTVで放映していました。救急外来に来る患者の波が途切れた午前0時ごろ、医局のTVを点けてみたら既に後半戦が始まっており、日本は2-0でビハインド。南野拓実が1点返して2-1になるも、その後吉田麻也のセーブがハンドボールと判定され、PKになり3-1と戦況は日本不利に。私はここで寝に入りましたが、結果は見るまでもありませんでした(下記リンク)。優勝杯はカタール代表の手に渡り、日本の「王座奪還」は達成ならず。前回のイラン戦が絶好調だっただけに、ガックリした方は多いのではないでしょうか。

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 では、カタール代表の強さとは何だったのか?ちょうど良い記事を見つけたので紹介します。

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サッカーカタール代表 - Wikipedia

 カタールは、国家的プロジェクトとして『アスパイア・アカデミー』を創設。そこでサッカー選手の育成を行なっています。しかも、ヨーロッパから指導者を招聘し、カタール代表の監督に就任させています。加えて、外国出身の選手を帰化させ(カタールは人口の大半が移民労働者)、カタール代表として登用しているのです。

 これらの資金源は潤沢なオイルマネーでしょう。主要産業は原油天然ガスで、この収入のお陰でカタール国民は所得税や医療費, 電話代等を払わないで済んでいるのだそうです(下記リンクのうち上2つより)。ちなみに2017年のGDPは、カタールが1676億米ドル, 日本が4兆8720億米ドルと大きな開きがあるものの、一人当たりGDPカタールが約6万5千696米ドルに対して、日本は約4万8千557米ドルとむしろカタールが上回っています(下記リンクの3つ目より)。

カタール基礎データ | 外務省

カタール - Wikipedia

世界開発指標 - Google Public Data Explorer

 

 これらのfactを見ているうちに、私は日本史上のあるエピソードを連想しました。1575年の長篠の戦いです。以前NHKの番組で歴史学者磯田道史氏が、長篠の戦いのことを「経済力で勝る(土地や人口がより多い)織田・徳川連合軍が、鉄砲を3,000丁も買い揃える物量作戦によって、当時恐れられていた武田勝頼の軍団を破った」といった趣旨の発言をしていたように記憶しています。時代背景や場所は違えど、私には武田方が日本に, 織田・徳川方がカタールに思えてきました。

 カタールは面積・人口共に日本に及びませんが、上記のように天然資源に恵まれています。また近年は天然資源依存経済からの脱却を目指して、産業育成に乗り出しています。一言で言えば、羽振りが良いのです。

  そんなカタール代表を敢えて織田・徳川連合軍に例えるならば、鉄砲3,000丁は外国出身の選手たちで、長篠に築かれた馬防柵などの野戦築城は外国人監督の采配といったところでしょうか。

 一方の日本は、乏しい天然資源・少子高齢化に加えて、自国の多国籍企業が次々と生産工場を海外に移転させる産業空洞化が進んでいます。空洞化した自動車産業に代わって観光業が主要産業となっていますが、これは下記リンクで述べられているように、必ずしも良い傾向と言えないようです。また、Jリーグも一応産業/企業の一種ですから、日本の今後の経済状況に左右される事は間違いないでしょう。

www.newsweekjapan.jp

  そして、日本代表を武田勝頼の軍団に例えるなら、森保監督は武田勝頼, 『武田二十四将』・『武田四天王』などと呼ばれた家臣団は、才能を認められJリーグから海外に移籍(予定含む)した堂安律, 南野拓実, 権田修一ら主力選手たちでしょうか?彼らは、プロアスリートとしての誇り(や日本への愛国心/忠誠心)を持ってアジアカップに挑んだと思われますが、各国の外国人監督(サッカーの歴史が長いヨーロッパ出身)の采配と、各国選手の卓越したフィジカルに翻弄され続け、最終的には、「優勝候補の1つ」と恐れられながらも「王座奪還」の機会をみすみす逃してしまいました。

 

  3年後、今度はカタールでW杯があります。開催国カタールにとっては、代表戦全てがホームゲームであり、強豪イランを含む湾岸諸国にとっても、カタールは地理的に近いのでホームゲーム同然ですから、代表選手らは一層奮起するでしょう。今後、日本代表は戦術や、選手・監督・コーチの人選/起用方法といった事項を再検討せねば、2022年のW杯ではカタール・イラン等湾岸諸国のチームとヨーロッパ・ラテンアメリカ諸国の伝統的な強豪国チームの間に埋もれてしまい、満足な結果が出せなのではないか、と思います。