Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

東日本の某県に勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

嘘や誤情報がもたらすもの

  森友学園加計学園問題, 防衛省の日報問題, 文科省汚職に続いて、またも公的機関(官公庁と自治体)の不祥事が発覚しました。今度は、雇用した障がい者数を水増しして報告していたのです。

www.tokyo-np.co.jp

  森友学園加計学園問題では財務省が証拠となりうる文書を廃棄していた事実が明らかになったり、防衛省の日報問題では、イラク南スーダン自衛隊日報に関して「廃棄した」・「探したらあった」と回答が二転三転しました。報告書や記録といった、本来であれば重要となる情報が軽々しく扱われているように感じたのは私だけではないでしょう。

  残念ながら、日本の国家の中枢におけるメチャクチャな情報管理(ここでは、誤認や嘘も含める)は、今に始まった事ではないようです。1944年10月12日〜16日に戦われた台湾沖航空戦では、日本海軍第二航空艦隊が米海軍第3艦隊の空襲を迎撃しています。その過程で戦果を誤認し、本当は重巡洋艦が1隻航行不能軽巡洋艦が魚雷で損傷(いずれも沈没していない),・空母2隻に爆弾が命中したが損傷は軽微, と米海軍の被害は微々たるものだったにも関わらず、日本海軍の航空隊は「戦艦を撃沈」・「空母を撃沈」等と報告。その報告を受けた大本営は10月19日に「空母19隻, 戦艦4隻, 巡洋艦7隻, (駆逐艦巡洋艦を含む)艦種不明15隻撃沈・撃破」と発表してしまいました。ちなみに、米海軍第3艦隊は空母17隻を含めた艦船95隻・航空機1000機以上から成り、航空機の損害は89機でした。それに対し日本海軍は航空機1251機が戦闘に参加し、うち312機を失っています。

  日本海軍は10月16日に、台湾沖を飛行していた索敵機から「空母7隻を含む敵機動部隊を発見した」と報告を受けて戦果の誤認に気付きますが、情報は海軍内部に止まり大本営全体(陸軍など)には共有されませんでした。何も知らない日本陸軍は、フィリピン防衛のため増援兵力・物資をフィリピンに送り込みますが、米艦隊が健在なのでこれらの物資・部隊はフィリピンに向かう道中で空襲を受けて減少してしまいました。その減少を補う為に、台湾の師団をフィリピンに移動→台湾の穴を埋める為に沖縄の師団を移動という措置が取られ、後の沖縄戦にも影響を与えてしまったのです。

  更に、誤報は同年10月23〜25日に戦われたレイテ沖海戦にも影を落としています。この海戦に参加した日本海軍の艦隊の一部は、台湾沖航空戦の残敵掃討を命じられ出動しましたが、当然米艦隊は健在なので予想以上の損害を被ります。加えて、9月〜10月中旬に行われた米海軍の空襲(台湾沖航空戦に加えて、南西諸島, フィリピンに対するものを含む)は日本軍の航空戦力を大幅に削いでいたのです。艦隊は航空機の護衛が無いまま米海軍と対峙し、海軍・陸軍航空隊は米海軍に有効な打撃を与えることが出来ませんでした。最終的に米海軍はレイテ島に上陸し、フィリピン奪還の足場を築きます。

  このように、官公庁や自治体をはじめとする公的機関による情報の誤認・捏造・隠蔽は、深刻な結果を招きうる行為です。社会全体・後の世代への影響を顧みず、目先の損得勘定だけで行われる軽挙をこれ以上許容しない態勢が今こそ必要なのではないでしょうか。

 

※参考までに、台湾沖航空戦とレイテ沖海戦Wikipediaリンクを貼っておきます。

レイテ沖海戦 - Wikipedia

台湾沖航空戦 - Wikipedia