Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

職場で頭に来ていること

 お久しぶりです。現役救急医です。色々忙しくて、ブログ放置していました。YouTubeチャンネルも同様です。COVID-19感染拡大の波は今のところ一旦落ち着いていますけれども、最近も最近とて、病院で働いていて色々と頭にくることが続いたので、ここでぶっちゃけてやります。なお私の身分がバレちゃ色々まずいので、一部情報をぼかしたりしてます。

 

 最初に断っておきますが、私の周囲には、患者の希望や尊厳・苦痛等に配慮して、「最善の治療方針を皆で考えよう」という、所謂『意識の高い(?)』職員が何人も居ます。私に助言を下さり、専門的な治療の為の転科を快く承諾して下さる他科の先生方や, 私に助言を仰ぎに来て、それを日々の看護に活かそうと努力する看護師など、互いに強い信頼を置ける人たちです。

 他方、一部の方には受け入れ難い事実かもしれませんが、そういった『理想(?)』とは程遠い態度を取る人間もいます。幾つか例を挙げます。

 

①専門的な精査等々必要なのに…

 患者さんの個人情報保護の観点から具体的なことはここに書けないのですが、救急科にせよその他の科にせよ、患者の併存疾患・合併症を全て完璧にコントロールできるとは限りません。呼吸器内科に消化管内視鏡検査は無理ですし、脳外科医がECMOを導入・管理できる訳がありません。ですから、医師は必要と判断すれば他の診療科の医師に患者の専門的な診療を依頼すべく紹介状を作成するのです。

 しかしながら、そうやって紹介した患者を実際に診察して主治医と現状をディスカッションすることなく、電子カルテ上に反映された画像・血液検査データや看護師・主治医のカルテ記載だけを参考にして、カルテにコメントだけを書いて診察を終える医者が結構居ます。こうゆう事例を経験するたびに私は内心「ふざけんなよ」と思ってます。同じ思いをしている医師は、私以外(しかも他科)に何人か居ます。

 

②もうちょっと考えてから医師にお問い合わせください

 内服薬の中にはカプセル製剤があります。錠剤や顆粒でなくカプセルになっているのは、今回は省略しますがそれなりの理由があるのです。しかしながら以前、経鼻胃管留置中の患者の内服薬を粉末へ変更した際、薬剤師がどうゆう訳か「院内採用薬でカプセル製剤があるのですが」などとPHSに連絡を寄越したことがあるのです!

 私は反論しました。「この患者さんは経鼻胃管を留置中です。他の内服薬が粉末・顆粒や錠剤の粉砕になっているのはその為です。カプセルを外したら、薬物動態が変わってしまい、本来のような作用が発揮できないのではないですか?そのようなアセスメントもなく私にそんな連絡をするのはおやめ下さい。」結局薬剤は、粉末のまま続行となりました。

 国家資格を有し, 人様の健康・身体へ重大な責任を負っているにも関わらず、個々の患者の病態云々に対する思慮が浅いのはいくらなんでも酷すぎます。まあ、薬学部・医学部・看護学部等々の教育課程を終えたばかりの社会人1~3年目程度であればある程度仕方ないのかもしれませんが…そもそも、同じ部署や職種の指導者がどこまでしっかり後輩・部下を監督できているのか、というのも重要だと私は思います。ここで挙げたのは薬剤師ですが、その他の職種(医師, 看護師, 医事課職員など)でも、上司/先輩からのフォローが甘い, ないし 事前に上司/先輩に相談することなく何らかの『失態』を犯してしまう事例が散見されます。

 あと、そもそもの前提条件として、あらゆる専門職は、目の前の仕事を『処理』するのみならず、己の専門的知識をアップデートすることも仕事(或いは義務)だと思います。それを出来ない人間を、同じプロフェッショナルと見做すことを私は拒絶します。

 

③何故医師からのフィードバックを活かさないのか

 私のみならず、日々の診療業務に関して色々なフィードバックが医師から看護師になされることが多々あります。言うまでもないかと思いますが、患者さんの生命・機能予後を改善させたり, 医療事故から守ったり, 苦痛を軽減させる為に必要だからですしかしながら、せっかくそうゆうフィードバックを行なっても、一部のスタッフしか把握していない・周知されていない事例がしばしば見られます。

 まだ臨床現場に出て年数が浅い若手ならまだ分かりますけれども、経験年数が十分ある筈の40歳代以上のスタッフでそれを『やらかす』人が結構いるのです。病院の職場には、これから知識や職場における礼儀, 生命倫理等々多くを学ぶ必要のある若手スタッフも沢山います。所謂『ベテラン』や年長者がその様で、若手に示しが付くとでも思っているのでしょうか?

 

 色々と愚痴ってしまいましたけれども、結局のところ問題は、職種や地位/年功序列, 権限を問わず、それぞれの医療従事者が『プロフェッショナリズム』というものをちゃんと持っているかに行き着くと思うのです。3年ほど前のブログ記事でも指摘していますが、「礼節や倫理観が欠落し, 『自分は医療従事者である』という自覚が無い」医療系の学生や職員を形容する語句として、『アンプロ』というものがあります「どうして医療系学部に入って医療系の職に就こうと思ったのか!?」と言いたくなるような若手職員もたまに見かけますけれども、臨床現場に出てかなりの年数が経過した職員の中にこそ、「あなたこそアンプロではないのか!?」と言いたくなるような人がちらほら見られます。

voiceofer.hatenablog.com

非常にキツイことを申し上げるようですが、「最近の若者は」などと言っているそこのあなたこそ、「自分はじゃあどうなの?」と自問自答すべきでしょう。