みなさんこんばんは。現役救急医のカ医ロ・レンです。今日は久々に?私の近況も交えて、このCOVID-19第6波や, 政府の政策などに対して私が抱いている思いを暴露しようと思います。
私は地方の2次病院勤務ですが、この第6波の影響は患者数増加だけに留まりませんでした。病棟や外来のスタッフの中には、幼稚園〜高校くらいまでのお子さんが居たり, 非医療系の職業に就いているパートナーと同居している人も少なからず居ます。既にメディア等でも話題になっているように、コロナワクチン2回目接種から半年以上経過すると、重症化抑制効果は維持されるものの, 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染に対する効果は減少してしまいます。また、5~11歳へのコロナワクチン2回接種は最近になってようやく日本国内で開始されたばかりです。そのような状況ですから、スタッフの同居家族が職場や学校で感染した結果、そのスタッフも感染し、治療と感染防止の為に欠勤することになります。スタッフ本人が感染していなくても、濃厚接触者に該当するので一定期間出勤できません。また、子供が濃厚接触者になり, 自宅で経過観察することになった場合、隔離期間が終わって登校や登園が出来るようになるまで保護者が面倒をみなければなりません。そうやって欠勤するスタッフが続発するという事態が、まさに私の目の前で起きてしまったのです。
そうなると、外来や病棟における診療へ支障が出るのは明白です。患者の症状変化などを密に監視したり, リハビリを毎日継続するに足る余裕が無くなった結果、因果関係こそ断定できませんが、状態が悪化した患者が出ました。それに加え私の場合、普段から病棟や外来で仲良く働いてきた同僚たちが、あのSARS-CoV-2に感染して居なくなったという事実を受け止め切れませんでした。
厚労省の発表資料によると、今年2/22時点での日本国内におけるCOVID-19の致死率は
- 10歳未満〜40代: 0.0%
- 50代: 0.2%
- 60代: 0.7%
- 70代: 2.6%
- 80代以上: 7.2%
※詳細な内枠は下の画面キャプチャーも参照
となっているものの、実際のところ10代で6名, 20代で32名, 30代で98名, 40代で323名などと若年者でも死者が出ているのです。その上、COVID-19から回復した後でも、咳や全身倦怠感, 抑うつ, 嗅覚障害といった様々な後遺症が報告されており, 仮に軽症だったとしても後遺症を来すことが分かっています。
多くの同僚がブースター接種を済ませていたとはいえ、「彼ら・彼女らがCOVID-19の症状に苦悩し, たとえ回復した後でも、後遺症に苦悩し続けるかもしれない」と思うと私はとても苦しくなりました。仕事中はまだしも、家にいる間ですらそういった思いが私の心に重くのしかかっていました。
去る3月2日、尾身茂先生は参議院予算委員会で、第6波について
- 若い世代の感染で始まり、その後若い世代は減って高齢者と子供で増えているため下火にならないこと
- ブースター接種が進んでいないことも関係していること
を指摘しました。事実、今年3月1日の時点で、日本国内のブースター接種率はやっと21.3%に達しました。2回接種率が79.2%であることを考えると、まだまだ足りません。こうした尾身先生のコメントも踏まえると、やはり「政府は何故もっと早く、11歳以下へのコロナワクチン接種を開始させなかったのか?ブースター接種をもっと促進できなかったのか?」と思わずにはいられません。内閣や国会で国策について議論を行い, 意思決定を下しているのは、公正な選挙を通じて我々国民の代表として選ばれた政治家たちです。しかし政治家たちは、専門家からの助言を受けていたにも関わらず、状況が悪化するまでロクな対策を打っていなかったことは明白です。そのせいで私の同僚たちが家族と共に、SARS-CoV-2により生命や精神を脅かされることとなったのです。
「到底許しがたい。どう落とし前を付けてくれるのか?」
これが、政治家に対して私が抱いている率直な感情です。
幸い、私たちは成人した段階で皆選挙権を持っています。有権者として、代表者の責務を全うする意思や能力に乏しい者を落選させ, より妥当な能力や意思を示す者を送り出す他ないと思います。