Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

天皇杯決勝を見て考えた、日本サッカーの未来。

 元日、私はサッカー天皇杯の決勝を見ていました。『常勝軍団』とあだ名される鹿島アントラーズと、アンドレス・イニエスタら大物外国人選手を獲得し注目を集めたヴィッセル神戸の対決。一時的に鹿島が攻め上がり優位に見えるシーンはありましたが、主にゲームを支配していたのは神戸。最終的に2-0で神戸の勝利に終わりました。

 神戸の親会社は、オンラインショッピングを中心に様々な業種に展開するIT企業であり、スペイン ラ・リーガFCバルセロナのスポンサーにもなっている楽天です。豊富な資金力を生かして、海外から一流選手や監督をリクルートしています。2019年シーズンにおいては、春期の連敗が目立ち、監督が2回も交代するというゴタゴタこそありましたが、トルステン・フィンク氏が監督に就任した後は(紆余曲折はあったものの)持ち味の攻撃力が復調し、守備もやや安定したように思われます(あくまで素人目線ですが)。

ヴィッセル神戸 - Wikipedia

楽天 - Wikipedia

トルステン・フィンク - Wikipedia

 また2019年シーズンのJ1チャンピオンに目を向けると、これもまた多国籍企業である日産, 及びシティ・フットボール・グループ(プレミアリーグマンチェスター・シティ等サッカークラブを数カ国で運営している)が親会社になっている横浜F・マリノスです。豊富な資金力を背景に、「神戸に負けじ」と言わんばかりに外国人選手を獲得し補強を断行。また、シティ・フットボール・グループが国際的なサッカークラブの経営を通して得たノウハウを実践しています。これはDAZNの特集番組で紹介していたのですが、横浜F・マリノスのコーチ・監督陣は試合中の各選手の動きを撮影してコンピューターで分析。ハーフタイム中などのミーティングを使ってこの分析結果を選手たちにフィードバックしているのだそうです(まさにハイテク化そのもの)。

横浜F・マリノス - Wikipedia

シティ・フットボール・グループ - Wikipedia

アンジェ・ポステコグルー - Wikipedia

 ここまで見てきたように、ヴィッセル神戸横浜F・マリノスには幾つか共通点があります。

① スポンサーが多国籍企業で資金力がある。

② 豊富な資金のおかげで、外国人選手を複数獲得可能。

③ 監督も実績がある外国人

特に②, ③は注目に値します。南米や欧州から招聘した人材や彼らのノウハウを通して、これまで日本になかった戦術・戦略を日本に導入できるでしょう。他のJリーグクラブの日本人監督は太刀打ち出来るのでしょうか。今後、Jリーグにおいてはこの2チームが益々優勢を極め、『常勝軍団』の仲間入りを果たすかもしれません。

 視点を変えて現日本代表の監督に着目すると、男子代表・女子代表はそれぞれ森保一氏・高倉麻子氏と日本人です。森保氏を例に取ると、日本代表経験こそあるものの、現役選手をやっていたのは1990年代〜2002年であり海外経験はなし(サンフレッチェ広島など国内チームのみ)。サンフレッチェ広島の監督を2012年〜2017年の間に務め、2012, 2013, 2015年とJ1優勝は達成しています(2017年に成績不振のため解任)。要は「日本代表だった」, 「監督経験がある」, 「優勝経験がある」とは言っても日本国内に限定されており、本田圭佑, 中田英寿, 南野拓実らのように、欧州チームへの移籍とプレーを一切経験していないのです。

森保一 - Wikipedia

 今年の東京五輪でメダル獲得を目指し、2022年の男子サッカーW杯(そして2023年に予定される女子W杯)でベスト16より先を目指すのに、監督・選手としての実績や経験が日本国内に限定されている『内向き』な監督・コーチ陣のままで良いのでしょうか。日本サッカー協会は、今後の方針を真面目に再考すべき時点に既に来ているのかもしれません。