Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

医局肯定派の言動に、昭和の陸軍を見てしまった話。

 過日、Twitterを見ていたら医局制度に関して非常に興味深い、刺激的な議論が飛び交っていました。私はこれまで、大学病院・医局中心の医療について批判的な記事を幾多と書いてきましたが、同じく従来の制度に批判的な医療関係者の方は結構いらっしゃいます。

 例えば(勝手に引用し申し訳ありません)

と仰る方も居れば、

と述べる方も居ます。

 東軍が居れば西軍, 南朝ができれば北朝が出来るといった具合に、何事についても意見の異なる集団間の相克が存在します。

やはり医局制度をあくまで擁護する方々も相当数いらっしゃいます。そうした方々の中には「医局員を派遣してやっているのだから、批判するな。感謝しろ(立場をわきまえろ)」といった趣旨の主張を行う人すら居ました。例えがアレですが、英国の首相がインド・パキスタンバングラデシュ国民に対し「植民地時代、鉄道等のインフラを敷設してやったんだから感謝しろ」と言ってのけるようなものだと私は思いました。

 こんな医局擁護派の言動を目にして、私は日本映画『日本のいちばん長い日』(原田眞人 監督, 役所広司, 元木雅弘ら出演)を思い出しました。 

この映画は、同名のノンフィクション書籍の映画化であり、日本政府がポツダム宣言受諾を決定し、1945年8月15日に玉音放送に踏み切るまでの過程を描いたものです。

 この中で、陸軍の主戦派はポツダム宣言受諾を良しとせず、連合国軍への徹底抗戦を主張します。陸軍は江戸時代以前の甲冑・槍・火縄銃までをもかき集めて「本土決戦」・「一億火の玉」を強調。更に、8月10日の御前会議でポツダム宣言受諾が決定したと知るや、陸軍の多数の将校がクーデター決行を決意。8月15日未明には決起に否定的な近衛第一師団長を殺害。その後、近衛歩兵連隊を皇居に送り込んで玉音放送が収録されたレコード盤を奪取しようとしたのです。

宮城事件 - Wikipedia

 準備不足かつ長期戦略も無いまま始めた結果、絶望的に不利な立場に陥りながらも戦争継続に拘る日本陸軍と、様々な矛盾や欠陥が続々と露呈し、存在意義に疑義が呈されているにも関わらず、あくまで従来通りのやり方と利権にしがみ付く医局(と医局肯定派)。似たような組織に見えてしまうのは私の錯覚でしょうか?