Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

平成という時代。

  今日17時、天皇皇后両陛下は退位礼正殿の儀に出席され、正式に退位されました。明日午前0時から、新しい元号『令和』になり、現皇太子殿下が新しい天皇になります。

  平成という時代は私が生まれ、成長した時代でした。物心がついたくらいの時期に阪神大震災オウム真理教サリン事件が発生したそうですが、私の記憶にはありません。

  私の記憶に残っているニュースで一番古い物は、米国を中心とした多国籍軍によるコソボ紛争への介入です。爆撃の映像や、巻き込まれた民間人の写真は、当時の幼心に強い衝撃を残しました。

  次に衝撃を受けたニュースは2011年9/11の米国同時多発テロです。航空機が高層ビルに突っ込んで火を吹き、最後は崩壊する様も衝撃的でした。その後、米軍がアフガニスタンに侵攻し、やがてイラク侵攻に移り泥沼にはまっていく様を、10代の私は強い関心を持って見ていました。

  当時まだ純粋(?)だった私はこう考えていました。「なんで大人どもは殺し合いばかりやっているんだ!」

  そんな中、私はあるNGOの存在を知ります。『国境なき医師団』です。インフラが機能せず、資源も限られた環境に入り、戦争や災害に苦しむ人々に手を差し伸べる医療スタッフたち。当時の私には(今でもですが)、そのような人らが、国会で堂々巡り(?)の議論やヤジの飛ばし合い, 失言等やっているような大人たちの何万倍も立派に見えたのです。そして、これが私が医師を目指した原点でした。

 「クソみてえな世の中で、クソみたいな人間も沢山いる。でも、医療を通じて目の前の患者さんに分け隔て無く手を差し伸べたり、医療を通じて見えた様々な問題点を啓発すれば、少しは世の中をマシに出来るかもしれない」

徳川家康の掲げたスローガン『欣求浄土 厭離穢土』にそっくりな思考回路ですが、これが今でも私の座右の銘(?)です。

  平成よ、私を育ててくれてありがとう!令和の世で『欣求浄土 厭離穢土』を実現してやるぜ!!(笑)