Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

個人的に勧めたい医療系ドラマ

 コードブルーの劇場版、かなりの人気ですね。家族(非医療系の一般人)と見に行きましたが、やけに感動していました。それだけストーリー構成は良かったのでしょう。

 

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 ただ、これは私個人の感想ですが、日本の医療系ドラマは総じて

①飛び抜けた(というより超人的な)技能を持つスーパードクターが主人公で、全話通じて彼or彼女の独壇場。

②登場する患者の疾患や臨床経過等も、医療スタッフの目線からするとぶっ飛んで(或いは浮世離れ)している。

③病院の設備や組織, 治療法等の描写が雑な場合が多い。

④患者は(ほぼ)全員生存し、しかも独歩で退院している(年齢や基礎疾患等に関係なく)。

といった特徴があるように思えてなりません。

 

 その反面、海外ドラマ(米国)は、一部誇張や無茶な設定はありますが、日本と比べると現実的な描写が多々見られるので、違和感なく鑑賞できるし、ストーリーも面白いと思います。今回は、そうした医療系ドラマから特に気に入ったものを紹介します。

 

(1) 『コードブラック』

 まずは、このドラマから。コード『ブルー』じゃなくで『ブラック』かよwwwってなりますけど、名前通り、日本の『ブルー』より設定は結構ブラックかもしれません。

 

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'Code Black'とは救急外来の患者数が許容量を超えた状態のことで、このドラマの舞台となっている病院は年間300回もそれが起っているそうです!収容される患者も、胸部や腹部の貫通銃創, カルト教団の集団薬物中毒自殺未遂, 刑務所暴動の負傷者(凶悪犯多数w)etc.とヤバイ感じがプンプン漂っていますが、日本のドラマみたく「ぶっ飛んで腕のいいドクター1名が大活躍する」というストーリー展開はありません。「『病院内で評判があるくらいの腕の上級医』たちが、各々クセのある研修医らと一緒に、診療業務をこなしていく」という、ごく当たり前のストーリー展開です。そんな中で、各自の個性がぶつかり合ったり、各個人が葛藤を抱えたりetc.とごく普通の人間ドラマが形成されていくのです。

 また、各エピソードに登場する治療法, 診断等も、教科書や参考書, ガイドライン等にも載っている、割と標準的なアプローチばかりです。更に、「手を尽くしても助からない」患者さんや、俗に言う「延命を希望しない」患者も登場しており、患者背景は現実に近い印象です。

 最後に、この記事を書いている最中に知ったのですが、残念ながらこのドラマはシーズン3で打ち切られてしまうそうです。

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(2) 『ER 緊急救命室

 こっちはご存知の方も多いかと思われます。米国で1994年から放映開始され、2009年まで継続したので、長寿かつ古典?の医療系ドラマです。

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 こっちは、コードブラックよりは現実味があります。患者数が救急外来のキャパをメチャクチャにオーバーするという事態は滅多に起きていませんから(笑)

 キャラ設定や、治療法・診断等の医療・医学に関する描写については、コードブラック同様に現実味があります。超人的な神業ドクター1名が暴れ回るのではなく、ごく普通(だがひとクセある)医療スタッフらが何人も登場し、ごく普通の治療を行います。救命されてめでたしの患者も居れば、出来うる治療法を全て投入しても救命できない患者, 延命を希望しない患者も居ます。

 ただ、1つツッコミを入れると、銃槍の患者が異常に多いです。銃社会たる米国のドラマなので仕方ないとは思いますが。他にも、ストーリーの背景に貧困, 人種差別やイラク戦争など、その時々の社会問題も織り込まれているので、色々考えさせられます。

 

 今回紹介するのは以上の2つです。他に、『Dr. House』というドラマも見たことがあるのですが、あれは主人公のキャラクターが明後日の方向に行き過ぎていますので、今回は割愛させてください(笑)

 

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