Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

全国の医学部の女子受験生合格率の実態が明らかに

 以前、東京医大が医学部医学科の入試で女子受験生の得点を一律減点し、女子学生数を全体の3割以下に抑えていたニュースについて本ブログでも紹介しました。(

東京医大、女子受験生を一律減点 - Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

)そして私立・国公立を問わず、他の医学部でも学生の男女比に極端な偏りが見られる所があり、東京医大のような不正が行われている疑惑があると指摘しました。

 実はその後、その男女差を実際に調査し数値化して報道したメディアが現れました。'Huffington Post'です。

www.huffingtonpost.jp

全国81の医学部がある大学に医学部医学科の男女別の受験者数及び合格者数の情報を請求し、うち76ヶ所から返答をもらったそうです。そして男子受験生の合格率を1として、女子受験生の合格率を数字で表わしたのです。その結果は上記リンクの通りです。具体例を挙げると、最多は島根大学医学部の1.64で、その次に福井大学が1.50, 大分大学が1.44と続きます。他方最低は東京医大の0.33, それに続いて聖マリアンナ医科大学の0.39, 山梨大学の0.42という結果になりました。ちなみに全国平均は0.86です。早くも実態が具体的な数値という形で暴かれたのです。

 以前も本ブログで述べましたが、各大学医学部は1. 男女の不均衡が生じた理由を公表し, 2. 入試における受験生の選考過程を透明化して, 3. 社会全体が納得のいく形に入試の過程を修正するのが妥当だと考えます。

 また、大学側は、女性の採用に対し後ろ向きな事について「結婚・出産といったライフイベントを契機に女性医師が離職してしまうから」と言い訳しています。しかしそこまで余裕の無い労働環境においては、男性医療スタッフですら体力的・精神的に限界が来るのは明らかです。男女の機会均等の実現と並行して、医療スタッフが男女を問わず、ライフイベント/私生活とキャリアの両立を満足に実践できるような労働環境の整備を進めて行く必要もあります。