みなさんこんばんは。現役救急医です。久々の更新です。ここ最近、仕事が忙しい上に, ブログやYouTubeに上げたいネタが切れていました。ごめんなさい。今日は、最近New England Jornal of Medicineに掲載された、敗血症患者へのビタミンC投与の臨床試験に関する論文(DOI: 10.1056/NEJMoa2200644)です。
(1) 方法
① Trial Design
LOVIT(Lessening Organ Dysfunction with Vitamin C) trialは第3相の多施設参加型・ランダム化比較対象試験である。LOVITでは、「ICUで血管作動薬投与を受けている敗血症成人患者において、高用量ビタミンC投与が28日後の死亡または臓器障害の持続を減少させる可能性がある」という仮説を検証した。
みなさんこんばんは。現役救急医です。今日は久しぶりに論文の紹介です。今年5/13にオンライン発表された'Venous or arterial thrombosis and deaths among COVID-19 cases: a European network cohort study.'(Burn E., Duarte-Salles T. et al., Lancet Infect Dis. 2022)が元ネタです。
ドイツ・・・IQVIADisease Analyzer(DA): 一般開業医("general practitioners"), 外来診療を行う専門医("specialists practicing in ambulatory care settings")が使用している患者管理ソフトウェアからのデータを収集。
オランダ・・・Integrated Primary Care Information(IPCI)データベース: 一般開業医が登録した患者の電子医療記録のデータを収集。
英国・・・Clinical Practice Research Datalink(CPRD) Autumデータベース: 一般開業医のデータを使用。
スペイン・・・System for Reserch in Primary Care(SIDIAP)は同国カタルーニャ州の人口約80%をカバーする、一般開業医医療記録のデータベース("primary care records databese")である。これを、入院中に登録された診断名・行われた処置を記録したConjunto Minimo de Datos Basicos al Alta Hospitala(CMBD-AH)というデータベースとリンクさせた。
1) 第1コホート: COVID-19と診断された or RT-PCR検査でSARS-CoV-2陽性と診断された人で構成されるコホート。このコホートに属する各患者の"the index date"(=臨床研究の解析対象となった期日?)は、最初にCOVID-19と診断, ないし RT-PCRで陽性 のいずれかになった期日であった。
事前に設定した重要な変量(=既往歴/併存疾患, 医薬品使用歴のこと?)とVTE・ATE・死亡リスクとの関連性を記述する為に、原因特異的Coxモデルという方法が用いられた。年齢とoutcomeの関連性は、性別により分類して検証した。また性別との関連性は、年齢により調整したモデルを使用して推計した。最後に、併存疾患 or 医薬品とoutomeの関連性は、未調整モデル・年齢調整モデル・性別調整モデルで推計した。
VTE・ATEのCOVID-19 outcomeへの影響は、'multistate model'という手法を用いて検証した。Multistate modelとは、被験者の症状進行を考慮することを可能としており, 以前もカタルーニャ州のCOVID-19第1波時の患者転帰を記述するために開発されていた。同様のモデルを、COVID-19無し・一般集団から始まり, 外来でCOVID-19と診断・COVID-19で入院・死亡のいずれにも進行しうる被験者に対して用いた。このモデルを、SIDIAP CMBD-HA由来のデータへ使用した。開始集団("starting population")は、SIDIAP CMBD-HAに属し, 2020年4/1時点で既往歴が少なくとも1年間はデータベースに記録されており, COVID-19既往 or SARS-VoV-2陽性歴がなく, かつ その前の1年間にVTE or ATEの既往が無い 患者だった。次に、以下のような時間依存性曝露について, VTE・ATEで個別に評価した: 1) 外来でCOVID-19 or PCR陽性と診断されてから入院するまで, 2) 外来でCOVID-19 or PCR陽性と診断されてから死亡するまで, 3) 入院してから死亡するまで。
(3) 結果
全体として、index dateが2020年4/1以降の患者909,473名が対象となった。これに加えて、SIDIP CMBD-AHからは32,329名のCOVID-19入院患者コホートが特定された。COVID-19と診断 or PCRで陽性となった患者の年齢中央値の範囲は、41歳(SIDIAP CMBD-AH)から52歳(LPD)であった。全てのデータベースにて、COVID-19症例は男性よりも女性が多かった(Table 1)。併存疾患あり or 医薬品使用歴ありの患者の割合の範囲は、24%(CPRD Aurum)から44%(LPD)であった。COVID-19入院患者では(Table 1)、