Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

救急

低リン血症の治療

みなさんこんにちは。現役救急医です。先日も少し述べましたが、電解質異常の補正はどの診療科でも直面しうる問題であり, 色々な参考書で原因検索や治療について述べられています。そこで今回は、それらの参考書で(あくまで私の印象論ですが)治療法の詳細…

田舎の2次病院のダメなとこ

みなさんこんにちは。現役救急医です。私は今、田舎の2次救急病院に勤務中ですが、今回はそんな環境で感じた「何これ!?ダメじゃね!?!?」と思ったことを列挙して自分の感情を整理しようと思います。どうか最後までお付き合い下さいませ。 (1) 早く知り…

【第116回医師国試合格おめでとう】初期研修2年間にやっといた方がいいこと

みなさんこんばんは。現役救急医です。3月16日は第116回医師国家試験の合格発表だったようで、午後になってTwitter上へ「受かった!」と言う報告が続々流れてきました。 改めて申し上げます。本当におめでとうございます。 卒後, 或いは 初期研修終了後にど…

急性腎傷害への腎代替療法に関するreview Part 2

こんばんは。現役救急医です。今日は前回に引き続き、NEJMへ掲載された急性腎傷害(AKI)への腎代替療法に関するreviewの紹介第2部をやります。 (4) 腎代替療法の開始時期・適応や治療内容について ① 開始時期・適応 Table 2: 腎代替療法の適応 重症患者への腎…

急性腎傷害への腎代替療法に関するreview Part 1

こんばんは。現役救急医です。今日は、2022年3/10に発表された血液透析等に関するreviewを紹介してみます(Gaudry S. et al. 'Extracorporeal Kidney-Replacement Therapy for Acute Kideny Injury. N Engl J Me. 2022;386:964-75)。和訳してまとめてetc.と…

いち医療従事者として、世間の皆様にお願いしたいこと

みなさんこんにちは。現役救急医のカ医ロ・レンです。今日は医療関係以外のお仕事に就いておられる皆さんへ、お願いしたいことがあってブログを書いています。私のブログやYouTubeチャンネルを始めて見られた方も居ると思うので改めて自己紹介しますと、私は…

米国の12~20歳における小児他系統炎症症候群の症例に関する研究

こんばんは。現役救急医です。COVID-19に罹患後の小児でたまに『小児他系統炎症症候群(MIS-C; multisystem inflammatory syndrome in children)』を来すことがあるのですが、コロナワクチン接種後のMIC-C症例に関する論文(Yousaf AR, Taylor AW. et al. Lanc…

心が晴れない。

こんばんは。現役救急医です。先日も少しばかりブログやYouTubeでも吐露しましたが、職場の同僚数名がSARS-CoV-2に感染してしまいました。幸い皆既にブースター接種を済ませており、症状が進行して入院するようなこともなく経過して復帰しています。しかし皆…

NEJMに載っていた類鼻疽アウトブレイクの話

こんばんは。現役救急医です。New England Journal of Medicineから配信されているメールを見ていたら、興味深い報告が載っていました。米国で類鼻疽が複数発生した事例の報告です(Gee JE, Bower WA. et al., N Engl J Med. 2022;386:861-8)。 (1) 導入 類…

NOAC内服中の人にt-PAを投与しても大丈夫なのか

こんばんは。今日は面白そうな脳卒中関連の論文を発見してしまいました。米国で、脳梗塞患者の経過を追ったデータベースを解析し, NOACs(Non-vitamin K antagonist oral anticoagulants)を内服中なのに脳梗塞を発症した患者の経過などを追跡したものです(Ka…

第6波を通して感じたこと。

みなさんこんばんは。現役救急医のカ医ロ・レンです。今日は久々に?私の近況も交えて、このCOVID-19第6波や, 政府の政策などに対して私が抱いている思いを暴露しようと思います。 私は地方の2次病院勤務ですが、この第6波の影響は患者数増加だけに留まりま…

ちょっとだけメンタルが回復したかも知れない

こんばんは。現役救急医です。金曜日、どうしようもなく気分が落ち込んでいました。一旦、COVID-19だの, ウクライナとロシアの戦争だのといった陰鬱な話題しか提供しないTVや新聞, Twitter等SNSを全て無視しました。幸い、土日は仕事が元々休みの予定だった…

心停止後の脳波変化の治療について

こんばんは。現役救急医です。この領域にいると、心停止への蘇生処置後に自己心拍が再開した患者の診療に携わる機会が多いです。特に救命センターでは、脳波を計測して中枢神経予後判定に活かすということもあります。今日は、関連する話題で書かれた論文を…

COVID-19により肺移植した患者の予後

こんにちは。現役救急医です。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19とも呼ぶ)は様々な合併症や後遺症を来しますが、今日は「重症COVID-19患者へ肺移植をしました」という米国の報告を紹介してみます(2022年1/27発表, doi: 10.1001/jama.2022.02…

毒蛇咬傷に関するreview Part 2

こんにちは。現役救急医です。今日は前回に引き続き、NEJMヘ1/6に掲載された毒蛇咬傷に関するreview記事の内容を紹介します。前回(下のリンクから閲覧可能)では疫学・病態生理・症状や診断について書いていましたが、今回は治療に関する話です。 voiceofer…

毒蛇咬傷に関するreview Part 1

こんばんは。現役救急医です。今日は、今年1/6にNew England Journal of Medicineへ掲載された毒蛇咬傷に関するreviewを紹介してみようと思います(Seifet SA, Armitage JO. et al., N Engl J Med. 2022;386:68-78)。長文になるので、Part 1とPart 2に分けて…

虚血病変が大きい急性期脳梗塞への血管内治療

こんばんは。現役救急医です。今日は日本から発表された論文を紹介してみます。筆者は兵庫医科大学の先生方で、論文自体は2022年2/9に発表されています(Yoshimura S, Sakai N. et al. 'Endovascular Therapy for Acute Stroke with a Large Ishcemic Region.…

COVID-19に合併したムーコル症のReview

こんにちは。現役救急医です。今日はLancet Microbiologyへ今年1/25に発表された、COVID-19に合併したムーコル症(真菌感染症の一種)に関するreviewを紹介してみようと思います(https://doi.org/10.1016/S2666-5247(21)00237-8 )。 (1) 背景 COVID-19が重症…

南アフリカからの報告 − オミクロン株の重症度など −

こんにちは。現役救急医です。昨年末から世界を騒がせているSARS-CoV-2オミクロン株ですが、最初に発見を報告した南アフリカから、臨床経過等に関する報告が出たそです。2022年1/19にLancetへ公表されました(Wolter N, Jassat W. et al., Lancet 2022; 339: …

視点を切り替え、前を向く - 埼玉県医師殺害事件で私の思ったこと 其の二 -

こんばんは。現役救急医です。昨日同様、今日も埼玉県の訪問診療医殺害事件について思ったことを綴っていきたいと思います。Twitter上では、医療従事者の様々な感情・意見が飛び交っていました。皆相当な衝撃を受けていることは一目瞭然で、なんというか、負…

ただただ痛ましい - 埼玉県の医師殺害・立てこもり事件の報道で思ったこと -

2022年1/28午前、衝撃的なニュースが日本中を駆け巡りました。60歳代の男が、猟銃を持って, 訪問診療の医師を人質に自宅に立て篭ったというのです。しかも、医師に同伴していたスタッフ2名も銃で撃たれて負傷していたとのこと。警察が出動し事態解決に努めま…

交通事故を起こした運転手の大麻成分血中濃度に関する研究

こんにちは。現役救急医です。New England Journal of Medicineからのメルマガをチェックしていたら、非常に興味深い論文を見つけました。カナダで大麻合法化後に、交通事故を起こした運転手における大麻成分血中濃度を解析した研究です(N Engl J Med. 2022;…

2021年、私のYouTubeチャンネルの総括

こんばんは。現役救急医です。早いもので2021年もあと2日足らずです。今年もCOVID-19パンデミックに振り回され、その傍では呑気に五輪などやり、ようやくワクチン接種が拡大し落ち着いたと思った矢先に、新規の懸念すべき変異株オミクロンの出現です。ここま…

モルヌピラビルの臨床試験

こんばんは。現役救急医です。去る12/24に、日本でもCOVID-19の新規内服薬『モルヌピラビル』(ラゲブリオ®︎)が承認されました。 「モルヌピラビル」 新型コロナの飲み薬として正式に承認 | 新型コロナウイルス | NHKニュース 飲み薬「モルヌピラビル」を国…

YouTubeチャンネルを更新しました。

こんばんは。現役救急医です。最近またブログ(とYouTube)の更新が止まりがちです。仕事が忙しいのはもちろんのこと, ネタもすぐには浮かばないし, 詳細は言えませんがプライベートとキャリアの両立に関する悩みがここ最近益々増えてしまい、気分的にpositi…

肺血栓塞栓症除外アルゴリズムに関する研究

こんばんは。現役救急医です。今日はJAMAというジャーナルに12/7に発表された論文(Freund Y., Chauvin A. et al. JAMA. 2021;326(21):2141-2149)を紹介してみます。特に統計学的な話がややこしかったので、省略したり雑に訳していたりする部分もありますがご…

【衝撃的事実】『日本版CDC』創設は2009年時点で構想が存在していた

こんばんは。現役救急医です。私が去る11/21~23の間、第49回日本救急医学会総会に参加していたことは以前述べた通りですが、実はこの学会の講演, ないし セッションで非常に興味深い話がありました。 学会最終日の11/23午前中に、川崎市健康安全研究所所長で…

第49回日本救急医学会総会に行ってきた。

こんばんは。現役救急医です。Twitter&YouTubeのフォロワーさんは既にご存知かと思いますが、11/21~23(今日)まで、東京で開催されていた第49回日本救急医学会総会・学術総会に行っていました。COVID-19パンデミックにより、2020年初頭以来、医療系の学術…

脳梗塞急患への画像検査の選択

こんばんは。現役救急医です。今日は専門ジャーナル"JAMA Neurology"に今年11/8に発表された論文(doi: 10.1001/jamaneurol.2021.4082)を紹介してみます。所々意訳とか、割愛したりした部分があるのであらかじめご了承下さい。 (1) Introduction "DAWN", 及び…

壊死性膵炎へのintervention時期に関する臨床試験

こんにちは、現役救急医です。日本救急医学会は日本集中治療医学会と合同で敗血症診療ガイドラインを作成しているのですが、それに少しばかり、急性膵炎の合併症である感染性膵壊死に対する介入時期について言及があります。雑に言うと、「ドレナージ(膿な…