Voice of ER ー若輩救急医の呟きー

日本のどっかに勤務する救急医。医療を始め、国内外の問題につきぼちぼち呟く予定です。

医療

胸水を検査に出す時、何をオーダーすべきか?

みなさんおはようございます。現役救急医です。今日は、胸水を検査に提出する際に調べる項目などについて, UpToDateを参考にしてまとめてみようと思います。本当は胸腔穿刺やドレナージの手技についてもまとめてよかったのですが、冗長になりそうなので今回…

チェルノブイリのロシア兵は本当に『被曝』だったのか

こんばんは。現役救急医です。ロシアのウクライナ侵攻は、ロシアが首都キーウ攻略から手を引き, 2014年以降占領を続けているクリミア・東部(ルガンスク, ドネツク)からの攻撃に重点を置き始めているようです。そんな中、4月1日ごろから気になる情報が出回…

痙攣性てんかん重積状態(convulsive status epilepticus)の治療

みなさんこんばんは。現役救急医です。研修医・医学生向けのものも含め、様々な医学書/参考書には、痙攣の診断/評価や治療に関する記載があります。今日は私の知識整理も兼ねて、UpToDateを参考に、痙攣性てんかん重積状態(convulsive status epilepticus)の…

肝シトクロームP450と抗血小板薬

みなさんおはようございます。現役救急医です。神経内科・脳外科・循環器内科領域では特に、抗凝固薬のみならず, 抗血小板薬が処方される機会が多いのです。この抗血小板薬には抗血小板薬には様々なものがあり、人によっては十分効果が発揮されない場合もあ…

我々はいつ『規制解除』ができるのか

みなさんおはようございます。現役救急医です。これまで私はCOVID-19に対する国策等について持論を展開し、最近では自ら感じた第6波の影響について綴った上で, それを通して感じたこと・世間に要望したいことを記していたと思います。但し、ずーっと愚痴って…

低マグネシウム血症の治療

みなさんこんにちは。現役救急医です。先日に引き続き、マニアックな(?)電解質異常の治療について、UpToDateを参考にまとめてみようと思います。今回は、低マグネシウム(Mg)血症についてまとめてみました。 (1) 低Mg血症の原因と症状 ① 症状 低Mg血症の症…

低リン血症の治療

みなさんこんにちは。現役救急医です。先日も少し述べましたが、電解質異常の補正はどの診療科でも直面しうる問題であり, 色々な参考書で原因検索や治療について述べられています。そこで今回は、それらの参考書で(あくまで私の印象論ですが)治療法の詳細…

田舎の2次病院のダメなとこ

みなさんこんにちは。現役救急医です。私は今、田舎の2次救急病院に勤務中ですが、今回はそんな環境で感じた「何これ!?ダメじゃね!?!?」と思ったことを列挙して自分の感情を整理しようと思います。どうか最後までお付き合い下さいませ。 (1) 早く知り…

【第116回医師国試合格おめでとう】初期研修2年間にやっといた方がいいこと

みなさんこんばんは。現役救急医です。3月16日は第116回医師国家試験の合格発表だったようで、午後になってTwitter上へ「受かった!」と言う報告が続々流れてきました。 改めて申し上げます。本当におめでとうございます。 卒後, 或いは 初期研修終了後にど…

急性腎傷害への腎代替療法に関するreview Part 2

こんばんは。現役救急医です。今日は前回に引き続き、NEJMへ掲載された急性腎傷害(AKI)への腎代替療法に関するreviewの紹介第2部をやります。 (4) 腎代替療法の開始時期・適応や治療内容について ① 開始時期・適応 Table 2: 腎代替療法の適応 重症患者への腎…

急性腎傷害への腎代替療法に関するreview Part 1

こんばんは。現役救急医です。今日は、2022年3/10に発表された血液透析等に関するreviewを紹介してみます(Gaudry S. et al. 'Extracorporeal Kidney-Replacement Therapy for Acute Kideny Injury. N Engl J Me. 2022;386:964-75)。和訳してまとめてetc.と…

いち医療従事者として、世間の皆様にお願いしたいこと

みなさんこんにちは。現役救急医のカ医ロ・レンです。今日は医療関係以外のお仕事に就いておられる皆さんへ、お願いしたいことがあってブログを書いています。私のブログやYouTubeチャンネルを始めて見られた方も居ると思うので改めて自己紹介しますと、私は…

米国の12~20歳における小児他系統炎症症候群の症例に関する研究

こんばんは。現役救急医です。COVID-19に罹患後の小児でたまに『小児他系統炎症症候群(MIS-C; multisystem inflammatory syndrome in children)』を来すことがあるのですが、コロナワクチン接種後のMIC-C症例に関する論文(Yousaf AR, Taylor AW. et al. Lanc…

心が晴れない。

こんばんは。現役救急医です。先日も少しばかりブログやYouTubeでも吐露しましたが、職場の同僚数名がSARS-CoV-2に感染してしまいました。幸い皆既にブースター接種を済ませており、症状が進行して入院するようなこともなく経過して復帰しています。しかし皆…

NEJMに載っていた類鼻疽アウトブレイクの話

こんばんは。現役救急医です。New England Journal of Medicineから配信されているメールを見ていたら、興味深い報告が載っていました。米国で類鼻疽が複数発生した事例の報告です(Gee JE, Bower WA. et al., N Engl J Med. 2022;386:861-8)。 (1) 導入 類…

NOAC内服中の人にt-PAを投与しても大丈夫なのか

こんばんは。今日は面白そうな脳卒中関連の論文を発見してしまいました。米国で、脳梗塞患者の経過を追ったデータベースを解析し, NOACs(Non-vitamin K antagonist oral anticoagulants)を内服中なのに脳梗塞を発症した患者の経過などを追跡したものです(Ka…

しつこいパンデミックについての思いをひたすら綴る。

こんばんは。現役救急医です。先日、COVID-19の第6波の影響が私の同僚にまで及んでしまったことについて思ったことをブログに綴りましたが、YouTubeにも動画にして上げることにしました。 youtu.be 2019年末に中国で発生し、瞬く間に世界に広がったSARS-CoV-…

第6波を通して感じたこと。

みなさんこんばんは。現役救急医のカ医ロ・レンです。今日は久々に?私の近況も交えて、このCOVID-19第6波や, 政府の政策などに対して私が抱いている思いを暴露しようと思います。 私は地方の2次病院勤務ですが、この第6波の影響は患者数増加だけに留まりま…

ちょっとだけメンタルが回復したかも知れない

こんばんは。現役救急医です。金曜日、どうしようもなく気分が落ち込んでいました。一旦、COVID-19だの, ウクライナとロシアの戦争だのといった陰鬱な話題しか提供しないTVや新聞, Twitter等SNSを全て無視しました。幸い、土日は仕事が元々休みの予定だった…

心停止後の脳波変化の治療について

こんばんは。現役救急医です。この領域にいると、心停止への蘇生処置後に自己心拍が再開した患者の診療に携わる機会が多いです。特に救命センターでは、脳波を計測して中枢神経予後判定に活かすということもあります。今日は、関連する話題で書かれた論文を…

これ以上ウラジーミル・プーチンの暴虐を許すな

こんばんは。現役救急医です。以前このブログで触れたウクライナ-ロシア間の緊張・紛争状態ですが、またもロシア側が挑戦的な行動に出ました。 voiceofer.hatenablog.com 2014年初頭のウクライナでの政権交代やロシアによるクリミア併合に『便乗』(?)して…

COVID-19により肺移植した患者の予後

こんにちは。現役救急医です。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19とも呼ぶ)は様々な合併症や後遺症を来しますが、今日は「重症COVID-19患者へ肺移植をしました」という米国の報告を紹介してみます(2022年1/27発表, doi: 10.1001/jama.2022.02…

不活化ワクチン2回接種済の人へmRNAワクチンでブースター

こんばんは。現役救急医です。日本では採用されていませんが、世界中の多くの国では、中国企業'Sinopharm'製のコロナワクチン'CoronaVac'を採用しています。CoronaVacも、mRNAワクチン(ファイザー社製, モデルナ社製)・アデノウイルスベクターワクチン(アス…

毒蛇咬傷に関するreview Part 2

こんにちは。現役救急医です。今日は前回に引き続き、NEJMヘ1/6に掲載された毒蛇咬傷に関するreview記事の内容を紹介します。前回(下のリンクから閲覧可能)では疫学・病態生理・症状や診断について書いていましたが、今回は治療に関する話です。 voiceofer…

毒蛇咬傷に関するreview Part 1

こんばんは。現役救急医です。今日は、今年1/6にNew England Journal of Medicineへ掲載された毒蛇咬傷に関するreviewを紹介してみようと思います(Seifet SA, Armitage JO. et al., N Engl J Med. 2022;386:68-78)。長文になるので、Part 1とPart 2に分けて…

虚血病変が大きい急性期脳梗塞への血管内治療

こんばんは。現役救急医です。今日は日本から発表された論文を紹介してみます。筆者は兵庫医科大学の先生方で、論文自体は2022年2/9に発表されています(Yoshimura S, Sakai N. et al. 'Endovascular Therapy for Acute Stroke with a Large Ishcemic Region.…

欧州におけるオミクロン株の振る舞い

こんばんは。現役救急医です。今日は、オミクロン株に関する文献を新たに2個見つけたので、ちょっと紹介してみます。和訳が雑だったり, 割愛している部分があったりしますが、どうかご了承ください。 (1) オランダの2021年11月〜今年1月中旬のデータ(Eggink …

COVID-19に合併したムーコル症のReview

こんにちは。現役救急医です。今日はLancet Microbiologyへ今年1/25に発表された、COVID-19に合併したムーコル症(真菌感染症の一種)に関するreviewを紹介してみようと思います(https://doi.org/10.1016/S2666-5247(21)00237-8 )。 (1) 背景 COVID-19が重症…

南アフリカからの報告 − オミクロン株の重症度など −

こんにちは。現役救急医です。昨年末から世界を騒がせているSARS-CoV-2オミクロン株ですが、最初に発見を報告した南アフリカから、臨床経過等に関する報告が出たそです。2022年1/19にLancetへ公表されました(Wolter N, Jassat W. et al., Lancet 2022; 339: …

視点を切り替え、前を向く - 埼玉県医師殺害事件で私の思ったこと 其の二 -

こんばんは。現役救急医です。昨日同様、今日も埼玉県の訪問診療医殺害事件について思ったことを綴っていきたいと思います。Twitter上では、医療従事者の様々な感情・意見が飛び交っていました。皆相当な衝撃を受けていることは一目瞭然で、なんというか、負…